株式会社電通クロスブレイン(本社:東京都港区 代表取締役社長執行役員:小野 洸一)は、仮説や型に頼らず、顧客の実際の行動データから”真のカスタマージャーニー”をデータドリブンに導き出すソリューション「データドリブン・カスタマージャーニー」を開発し、本日より提供を開始します。行動の前後の文脈を機械学習でとらえ、その背景にある目的・動機まで推定。顧客が「なぜ・どう動くのか」を読み解くことで、これまでにない解像度の顧客理解を実現し、マーケティング施策や顧客体験の改善を支援します。
1.従来型のカスタマージャーニーの問題
本ソリューションは、従来型のカスタマージャーニーの問題を解決することを目的に開発されました。従来型のアプローチは大きく3つに分類できると考えています。
第一に、「認知 → 興味 → 検討 → 購入」といった購買プロセスモデルや、業界標準として広く用いられているフレームワークを基に設計されるカスタマージャーニーです。このアプローチは、比較的容易にジャーニーを作成できる一方で、顧客行動の多様化やタッチポイントの複雑化が進む現在の市場環境においては、実際の顧客体験を十分に反映できないという課題があります。
第二に、上記のような一般的なフレームワークに加え、デプスインタビューなどの定性調査や現場担当者の知見を組みあわせて、企業独自のカスタマージャーニーを設計するアプローチです。この方法では、各企業の商品・サービスや顧客特性を踏まえたジャーニーを構築できる可能性があります。しかし、その構造が主として定性情報に依存しているため、十分な定量的裏づけを欠く場合があります。その結果、担当者・調査対象者の主観に沿ったジャーニーとなり、実際の顧客行動との乖離が生じるリスクがあります。
第三に、アプリ利用履歴、Web閲覧履歴、検索行動などのオンライン行動データを活用して作成されるカスタマージャーニーです。行動ログデータは大量かつ高精度であるため、実際の顧客行動に基づいた定量的な裏づけを持つジャーニーを描くことが可能です。一方で、このアプローチはデジタル上で観測可能な行動に分析対象が限定されるため、店舗での体験や口コミ、対面接客など、オフラインで発生する重要な顧客行動や意思決定プロセスを十分に捉えられないという課題があります。
いずれのアプローチも一長一短があり、カスタマージャーニーを包括的かつ定量的に把握することは容易ではありません。
2.データドリブン・カスタマージャーニーの手法
本ソリューションでは、定量データに機械学習のアルゴリズムをかけあわせることで、データドリブンにカスタマージャーニー構造を導き出し、上記の問題を解決します。
利用する定量データは、顧客がジャーニーのゴールに到達するまでに接触した情報・顧客の行動などを時系列で並べたデータとなります。
ただし、行動の回数を集計したり、どの行動の次にどの行動が多いかを割合で示したりするだけでは、本質をとらえたカスタマージャーニーは描けません。表面的な行動の流れは見えても、その一つひとつの行動が”何を意味するのか”——背後にある目的・動機までは、読み解けないからです。
たとえば、ある顧客が「自社ブランド名検索」という行動をとったとしても、その行動が商品を知るための情報収集なのか、それとも購入を真剣に検討しているのかは、「自社ブランド名検索」という事実だけでは判断できません。データドリブン・カスタマージャーニーでは、検索の前後にどのような行動をとったのかの文脈をアルゴリズムでとらえることで、「自社ブランド名検索」という行動の背景にある顧客の目的・動機を推定することができます。先ほどの例でいえば、同じ「自社ブランド名検索」を、「A.情報収集フェーズ」と「B.購入検討フェーズ」に切り分けられる、ということです(下図参照)。
-1024x683.png)
こうして、行動の背景にある目的・動機を推定し、行動から行動への移り変わりを確率であらわすことで、カスタマージャーニー全体を描きだします。顧客行動の真の意味を浮かびあがらせることができるので、「何をしたか」という表層的な行動だけではなく、「なぜそう動くか」「次どう動くか」といった顧客の意思決定の流れまでを理解することが可能になります。
さらに、本ソリューションでは、顧客がKPIへ達するまでのオフライン・オンラインを問わない行動・意識の変遷をたずねたアンケート調査のデータもモデルに取りこめます。顧客の行動そのものに加えて心理的な変容までジャーニーに取り入れることができます。
以上で説明した手法により、従来型のカスタマージャーニーの諸問題を解決に導きます。
まず、購買プロセスモデルにもとづく固定的なジャーニーでは、実際の顧客体験を十分に反映できませんでした。実際の行動データから導き出すからこそ、より実態に即したジャーニーを描けます。次に、定性調査や現場の知見だけでは、担当者や調査対象者の主観に沿い、実際の顧客行動とズレてしまう懸念がありました。定量データで裏づけられるからこそ、こうした主観によるバイアスを抑えられます。そして、オンラインの行動データだけでは、店舗体験や口コミなどオフラインの行動を捉えきれませんでした。アンケート調査まで組みこめるからこそ、オフライン・オンラインを統合したジャーニーを描き、この見落としを解消できます。
3.提供価値とアウトプット
実際のプロジェクトで得られた知見をもとに構成した事例を通じて、本ソリューションの提供価値と主要アウトプットをご紹介します。
活用事例1:小売業の顧客行動の解明プロジェクト
従来の購買プロセスモデルでは捉えきれない顧客の行動を明らかにするため、データドリブン・カスタマージャーニーを活用した分析を実施しました。その結果、店頭で商品を確認した後にスマートフォンなどで検索を行う顧客が多く存在することが明らかになりました。「店頭で商品を確認した顧客は、そのまま購入に至る」という従来の見方を見直すきっかけとなるとともに、店舗とオンラインを一体で捉えた顧客体験(OMO)の検討に向けた新たな示唆を提供しました。さらに、店頭での検索行動を踏まえた店頭掲示物の見直しなど、具体的な施策立案につながるアウトプットを得ることができました。

活用事例2:高価格商材の主要ジャーニールート・属性解明プロジェクト
会員登録前の顧客がどのような行動を経て購入に至るのかを把握するため、データドリブン・カスタマージャーニーを活用した分析を実施しました。その結果、購入までのジャーニーは大きく3つのパターン(レビュー・長期利用型、他ブランド比較型、価格重視タイプ)に分類されることが分かりました。さらに、ジャーニーパターンごとに対象商材への価値観や年収といった顧客特性が異なることも判明。顧客ごとに効果的なタッチポイントや訴求内容を検討するための示唆を得ることができました。


データドリブン・カスタマージャーニーは、仮説に頼らず、顧客の行動の”意味”までデータから捉えることで、従来の顧客理解を刷新します。本リリースで紹介したユースケースに限らず、お客様の課題や目的に応じて分析設計を柔軟に行い、戦略策定や施策立案、顧客体験の改善につながる実践的な示唆を提供します。
今後も当社は、データを活用したマーケティング支援を通じて、お客様の事業成長と持続的な企業価値向上に貢献してまいります。
■株式会社電通クロスブレインについて
株式会社電通クロスブレインは、株式会社電通グループ(拠点:東京都港区、代表者:代表執行役社長 グローバルCEO 佐野 傑)と株式会社ブレインパッド(本社:東京都港区、代表取締役社長 CEO 関口 朋宏)との合弁会社です。「データでマーケティングをアップデートし、社会を活性化させる」を経営理念に、データにもとづく意思決定から実行までを一気通貫で支援しています。
■本件に関する問い合わせ先
株式会社電通クロスブレイン 広報担当
Email:info@dxb.co.jp