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企業のデータ活用の意味を考え続ける社内ベンチャー組織

アナリティクストランスレート統括部 統括部長/小野 洸一
アナリティクストランスレート2部 部長/ 金井 雄佑

既存のデータ分析の枠を捨て、ビジネス目線での意味を再定義する



まずは、2023年7月にできた新規部門「AT統括部」の立ち上げ背景についてお聞かせください。

小野:当社は設立から約3年が経ち、技術的な変化も激しい中で電通クロスブレインとして改めて持つべき機能を整理するフェーズに入っています。この3年間で、クライアントの課題やデータを活用する目的が見えている状態で解決策を具現化したりデータ分析の手法を提案したりすることはできており、しっかりと事業として足場固めをして、堅調に成長しています。


一方で、データ活用が論点となるとき、主に手段のレイヤーで語られること(データを活用している状態がゴールとなるような議論)も多く、その視座に立脚した提案を行うベンダーが多いことも事実です。そういった市場環境を見ると、クライアントに寄り添い、本質的に支援会社側の立場として価値を発揮するためには、クライアント自身も気づいていない問題提起~解決策の議論まで行う必要があります。そこで今、データ活用に関する理解を背景にしながら改めて手法に立脚しない、データ活用を前提とした事業活動への問いを立てることを探求することで、クライアント側の真の課題意識に寄り添うことに挑戦する新たな組織の立ち上げに至りました。


「データ活用によって何ができるのか」は、技術変革がリードする部分も大きく、グローバルで見ても、まだ見定めきれていないと考えます。とはいえ、現状見えていることで言えば、いずれにしても分析をすることを主旨にデータ環境などを構築しにいくことや分析手段を選定することでは本質的なクライアント側の問題解決にはつながりません。


そのため、時には分析だけではなくワークショップなどのディスカッションをすることで、クライアントの「ディスカッションパートナー」として、データ活用の意義を考え続け、新たな発想を提示しながら伴走できる存在になることを私たちは目指しています。それをわれわれは、分析する能力があるからこそ持ちうる分析的思考力と言い、その力を伸ばすことを意識しています。


金井:近年、データ分析を始めとしたデータ活用を推進している企業はますます増えており、データ活用を内製化する動きも活性化するなど、データ活用のニーズが変化しているとも感じています。もちろん、従来当社が対応してきた領域もまだまだ求められていると思うものの、データ活用に対する認識やニーズの変容は、データ活用のマーケットへの浸透を示すポジティブな要素だと捉えています。


その一方で、いくつかのデータ活用に関する調査レポートなども参照すると、データ活用に取り組んでいる企業は多くあるものの、実際にうまく活動できていると考えている企業は、そのうち数%にとどまるといった結果をよく目にします。


こうした結果を踏まえるに、従来のような形でデータ分析を支援するだけでは価値が出にくくなっている状況にあると思っており、よりビジネス目線で目的を据えたうえで、クライアントの事業にとってのデータ活用の意義を考え抜くことが必要だと思います。そのため、時にはこれまでのデータ分析の手法の枠から出ることもいとわず、その価値実現の根幹となる部分を探求し、問題解決のために何ができるのか追求していく組織こそが、私たちAT統括部なのです。


AT統括部はどういった役割を期待されているのでしょうか。

小野:AT統括部の機能や役割としては、大きく二つあると考えています。


一つは「ソリューション開発」です。クライアントの問題解決につながるテーマをプロジェクトとして提案し、そこに共感していただけるクライアントに伴走するといったことを目指しています。


二つ目は「ビジネス開発」です。今の当社の規模で、後発の会社として現状のビジネスモデルでスケールし続けることはスピード感が伴わないため、ソリューション開発をする過程で生まれたアイデアをもとにし、新たなビジネスモデルへと挑戦することも探求しています。


3年目の若い会社といえど、大企業同士のJV(ジョイントベンチャー)であるため大企業的なことが求められる側面もありますが、その中でも将来の事業投資のために足元の収益の柱となる事業を作りながら、新たなビジネスモデルの開拓にも挑戦するといったことを忘れない、ある種社内ベンチャーのような動きをとっています。


金井:「データ分析によって、ビジネスにどう貢献するか」に軸足を置きつつも、データ分析以外の視点として、経営的な課題や定性的な情報も考慮しながらパッケージを考えてみたり、それらのマーケットの反応やビジネス変革の可能性を常に探ってみたりしている点はユニークであると考えています。




意思決定するための地図を描き、データ分析の真価を発揮する

本質的なデータドリブンマーケティングを実現してきた電通クロスブレインが、新規事業開発に新たに取り組む意義についてお聞かせください。

小野:データ活用領域では、技術的な発展によってできることが増え続けていますが、「そのデータをどうビジネスにつなげるか」「分析をすることで何が変わるのか」というデータや分析といったことが前提となった議論が多く、それでは本質的なゴールには行きつかないのだと思っています。だからこそ、電通クロスブレインとして、差別化の意味でもデータ分析とその施策提案ができることの状態は保っておきつつ、より本質的な問題提起や課題の解像度を高めるべき領域を提言できるようになることは、社会においてある種の指針をもたらす大きな意義につながると考えています。


金井:この数年でデータを分析・活用する技術や知識は、学習コンテンツなどの普及もあいまって一般にも浸透し、また分析環境へのアクセスも従前と比べるとはるかに行いやすくなっていて、少し興味を持って調べたりすれば、分析官でなくてもすぐに分析を実行することができる環境だと思います。つまり、分析実行へのハードルが下がっているわけですが、そうしたなかで改めて重要だと感じているのは、実際に行った分析がビジネス上の意思決定にどのような貢献をもたらせるかという問いに答えることも含めて、データ分析を実行できるかです。


データ分析を行う目的のひとつは、意思決定をするためだとよく言われます。そうしたことを踏まえると、ビジネスの問題解決に向けて、何を意思決定するべきか、「意思決定の地図」を描き、そのための示唆を得るために何を分析し、目的地に向かってどのように進んでいくのかを提言することまでできてこそ、データ分析をする意義が生まれると考えています。こうした地図を描くためには、ビジネス上の論点を設計していくことがはじめに求められますし、高度な分析技術などはその前提で使われることが望ましいと思います。


そのため、データ活用とマーケティングの両方の強みを持つ電通クロスブレインが、「データ×ビジネス」の可能性を広げ、クライアントの意思決定の支援し続けていくことには大きな意味があると信じています。




電通クロスブレインが描いている事業の成長戦略や、今後目指しているビジネス展望についてお聞かせください。

小野:クライアントの問題定義から、その解決方法の実装まで一気通貫で担い、データ活用が実際にクライアント社内に定着するところまで責任を持って伴走できる組織を目指しています。もちろん、電通クロスブレインだけでは解決できない部分はパートナー企業と協業することも含めて、伴走できるような姿を目指しています。


いずれの場合においても、「何を達成するためにデータをどう活用するか」といった方針をクライアントと一緒に描き、プロジェクト実行後の定着も見据えた成果物の提供へ徹底的にこだわりたいと考えています。


金井:高度な技術をただ提供するだけでは、データやテクノロジーをうまく活用していることにはなりませんし、継続的なビジネス価値を創出することにもなりません。だからこそ、現場の業務のあり方や意思決定プロセスにも深く入り込み、クライアントがデータ活用を通じてビジネスを成功させるところまでコミットするところに、私たちの介在価値はあると考えています。


解くべき問いの設定から議論を重ね、課題解決への道筋に必要なことは率直に提言し、前例のないことにも果敢に取り組む。それは、先進事例ありきの戦略提言でもなく、はたまたクリエイティブながら実現性に欠けるアイデアでもない、当社らしい伴走のあり方だと考えており、そこをより磨くことでさらなる成長を遂げられると思っています。




個性(個人のアンテナ)を大切にすることで組織に色を持たせたい

AT統括部における業務の特徴や既存事業との違いについて教えてください。

小野:仕事の特性や働く環境という意味では、大企業よりもベンチャーに近いと思います。部門自体が立ち上がったばかりなので、すでに走っているプロジェクトに携わるよりも、クライアントとの雑談から生まれた新たな提案の種を起点にプロジェクトを組成することも多く、フレキシブルに対応しながら答えを導き出していく動きが多いです。


AT統括部の場合は、そもそもクライアントに向き合う担当として「その取り組みをクライアントが取り組む意味が本当にあるのか?」「担当としてそのテーマに心底興味を持てるのか?」といったことを会話するところから始まります。もちろん、電通クロスブレインとしての強みを生かすことは前提として提案活動は行うのですが、クライアントの窓口としてどこまでやり切るかは大切にしています。そのため、データ分析と言っても、従来のビッグデータ分析的な側面だけでなく、案件ごとに定性調査や定量調査などデータがない状態でプロジェクトを組成することもあるのは、この界隈では一つの幅かと思っています。


金井:その意味では、私たち新規事業の役割は、クライアントにとって何が価値ある取り組みであるのかを「探索する」ことにあると考えます。電通クロスブレインの強みであるデータ分析は軸にしつつも、一方でデータ分析はあくまで目的実現のための手段であるので、本質的にはビジネス上の解くべき問いを考え、目的を設定することから始めることを大切にしています。そのため、目的に対する答えを制約なく考えることがAT統括部の仕事の特徴です。


データがあるなら「データ活用によってこんなことができたら面白い」とか、データはなくとも「こういう仮説が実証されればこんなことが言えそう」などと、好奇心旺盛に議論できる方にとっては絶好の環境だと思います。


また、新規事業という特性上、自分の考えが凝り固まってしまわないよう、みんな日々のインプットとアウトプットを大事にしています。自由度高く裁量を持って働ける環境を生かしながら、学びの時間を積極的に取っている人が多いですね。


電通クロスブレインおよびAT統括部の強みや独自性はどういったところだと思われますか。

金井:やはり、電通クロスブレインの特徴としては、マーケティングとデータ分析の2つの領域に深く携わることができる点にあり、この3年間で案件を重ねて経験を積んできました。AT統括部はその盤石な土台のうえで、自分の得意な領域を伸ばしながら個々の力を試して勝負していける環境です。会社としても、AT統括部という組織としてもこれから成長するフェーズであるので、裁量を持ってチャレンジし続けられる環境ですし、そうであり続けたいと思っています。


小野:AT統括部は、組織として単純に人を増やして大規模化していくことは目指していません。それよりも、各メンバーがさまざまな個性や得意領域を持ち寄り、磨き、掛け合わせることで新たな価値を生み出す組織を作りたいですし、それが唯一無二の強みになると考えています。


そのため、業務は無理に平準化することは求めておらず、自分なりの答えや価値を出しながら「○○さんにお願いしたい」と名指しで依頼がくるような人材を増やしていきたいです。




「自分にしか出せない答え」を探索し、形にできるフィールド

AT統括部は、どういった方に仲間になってほしいですか。

小野:データ分析の素養がある方や、事業会社でのマーケティング経験がある方は、即戦力として大歓迎です。ただ、それ以上に求められるのは、クライアントと向き合い徹底的に課題を掘り下げる「思考力」と「コミュニケーション力」、そして正解がないところから実装まで伴走する「やりきる力」でしょう。


また、ゼロイチで事業を作り上げていくからこそ、「他責にしない思考」「目的思考」を持って考え抜き、教科書的な方法論や答え探しではなく、自分なりの解を探索し、導き出していく姿勢は求められます。


金井:AT統括部の仕事は、例えるならば「総合格闘技」のようなもので、さまざまな領域の知見を結集させて答えを出すことが求められます。だからこそ、一人一人の個性や強みを生かすことを前提に、自分が知らない領域に対しても知的好奇心を持って情報を集めにいくことも必要になります。考えることが好きで、突き詰めて思考し、率直なアウトプットを出すところまで走り抜ける人は、必ずや活躍できると思います。


小野:AT統括部は現在10名前後が所属しており、電通グループやブレインパッドからの出向者のほか、さまざまな分野のエンジニア、マーケティングやデータ分析などの専門性を持つスペシャリストなど、多様性にあふれた組織になっています。


これから入っていただく方には、今いるメンバーとは違った観点や発想を積極的に持ち込んで、新たな風を吹き込んでいただけたらと考えています。組織も事業も未完成の今だからこそ、チャレンジしたいことに思う存分打ち込める。そんな環境で自身の可能性を広げていきたい方は、ぜひご応募ください。




出典:ビズリーチ 公募ページ「株式会社電通クロスブレイン」(2023年12月7日公開)より転載
https://www.bizreach.jp/job-feed/public-advertising/f9mrmrm/
写真提供©BizReach



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